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安心住まいのためのお役立ちガイド

[一戸建て工事中のチェックポイント]
統計データから明らかになった「施工不良」の恐るべき実態

2021-09-20


「80%」という確率について、みなさんはどういう印象を抱くでしょうか。


これがテレビ番組の視聴率なら「お化け番組」ですし、プロ野球選手の打率なら「人間離れした成績」です。これがもし今日の降水確率なら……傘を忘れてはいけません。いずれにしても80%という数字は「かなり高い」確率であると言えます。


では、住宅において、施工不良の発見率が「80%」と聞いたら、どのように感じますか?


私たちさくら事務所ではこれまで多くの物件の検査を行ってきましたが、このたび、その検査で見つかった施工不良について分析を行いました。そこで導かれた「施工不良が見つかった確率」がこちらです。


「82.42%」


この数字、どう思いますか?



82.42%という高確率で施工不良が見つかった!?


耐震性能にかかわる「構造部分」で施工不良が多発


まずは、下のデータをご覧ください。



さくら事務所では、着工から完成まで、工事中の新築注文住宅や建売住宅、建築条件付き住宅を検査する「新築工事チェック」というサービスを行っています。2019年と2020年の2年間で木造住宅を対象に実施された新築工事チェックの中で、特に住宅の構造部分をチェックする「構造検査」を行った件数と、その検査によって指摘された施工不良の件数をまとめたのがこちらのデータです。


ちなみに「構造」とは住宅における骨組みの部分のこと。コンクリートで作られる「基礎」が建物全体を支え、柱や梁、耐力壁といった「構造」が地震に耐える役割を果たしています。


2019年、2020年の新築工事チェックにおける構造検査では、両年とも検査を行った100件弱の新築住宅のうち、82%以上の住宅で耐震性に関わる重要な構造部分の施工不良が見つかっているのです。



現場ではどのような施工不良が起きている?


具体例① 釘が正しく打たれていない


では実際にどのような施工不良があったのでしょうか。最も多いのは、耐震性に大きく関係する「耐力壁」で使われる釘(ビス)の「不足、めり込み」で、全ての施工不良のうち、41.76%を占めました。


木造住宅の中には、「屋外面材耐力壁」という木材の壁で地震の揺れに耐える設計となっている建物があります。フレームとなる部材にこの耐力壁をしっかり固定しておかないと、大きな地震のときに壁が歪んだり外れたりして建物が損壊、倒壊する恐れがあることから、釘打ちの際には「○cm間隔で固定すること」と、釘を打つピッチ(間隔)が決められています。



ところが、定められたピッチよりも広い間隔で釘が打たれていたり、打たれているべき場所に釘が打たれていなかったりした場合は、「不足」として指摘の対象となります。


こちらの写真はまさにその「不足」のケース。



緑のテープを貼っている部分は、そもそも釘が打たれているべきところであるにもかかわらず、ひとつも釘が打たれていなかったのです。このままでは期待された強度を発揮しない可能性がありました。


「めり込み」は、この写真のような状況を指します。



釘を強く打ち過ぎてしまったことで木材の表面よりも深く釘が入っているのがわかりますね。


たいしたことはないように思うかもしれませんが、実は、釘が表面よりも釘が4mm深くめり込むと耐力壁の強度が半分になるという実験結果もあります。


耐力壁は釘でしか留まっていないため、釘打ちに不足やめり込みなど、規定をはずれる施工が多数あれば、当然地震が起きた時に耐力壁が剥がれる危険性が高まり、場合によっては住宅の倒壊を招くこともあり得るということです。


具体例② あるべき「金物」の付け忘れ


次に多かったのが、全体の37.91%を占める「金物の設置不足」でした。


「土台と柱」「柱と梁」など、木材と木材を接合する際は、補強のために建築基準法で性能を指定された金属製のパーツを留めることになっています。このパーツを「金物(かなもの)」と呼ぶのですが、なんと、あるべき場所に金物が取り付けられていないというケースがよく見られたのです。


こちらの写真をご覧ください。



このケースでは柱と梁の接合部分に金物が付けられておらず、施工不良を指摘した時のものです。


そして、正しい状態はこちら。私たちの指摘を受けて、工事現場で改善されたものです。



柱と梁を繋ぐ、L字の金物が取り付けられました。


私たちの検査の前にも、建築現場には現場監督や多数の職人がいて、目に入っていたはずなのですが、気づかれていなかったのです。指摘できていなければ、このまま内装壁などで覆われ、必要な金物が無いことを知らないままで生活をし始めてしまうところでした。



熊本地震で倒壊した住宅のほとんどは「接合部」に強度不足の可能性


施工不良の具体例を見てきましたが、例えば金物の設置不足があったとして、実際にどのような影響があるのでしょう。


2016年4月に起きた熊本地震による被害状況を国土交通省が分析したデータがあります。このデータによると、地震で倒壊した木造建築物のうち、1981年から2000年までに建てられた新耐震基準の物件は83棟。うち、建築物の状況が把握できた77棟について、被害の要因はこのように分析されました(要因は重複したものも含む)。



  • (地盤が動いてしまうなど)著しい地盤変状の影響…2棟

  • 隣接の建物の衝突による影響…1棟

  • 蟻害(ぎがい/主にシロアリによる被害)による影響…2棟

  • 現行規定の仕様となっていない接合部による影響…73棟


「現行規定の仕様となっていない接合部」とは、これら建物の建設時の建築基準法は今とは異なるため、主に、今の新築住宅では取り付けられるはずの金物が取り付けられていなかったということを指します。時代による法律の違いですから、手抜き工事とは異なりますが、当時の規定通りでは、最近の建築基準法で必要と考えられる耐震強度は満たせないのです。


現行規定の仕様となっていなかった接合部が確認された建物は、77棟のうち73棟で、倒壊原因の94.8%の木造住宅で、接合部の強度が足りていなかったわけです。


ご紹介した熊本地震による木造建物の倒壊事例は、時代の違いによる接合部の金物の不足が原因ですが、今の時代でも、前述のように本来必要な金物の取り付け忘れや不足することがあれば、やはり、損壊・倒壊する危険があると言えます。


「たかが金物1つ」と考える人もいるかもしれません。実際、金物を1つだけ付け忘れていたとしても、金物の位置などによってはそれが耐震性能にたいして影響を及ぼさないこともあり得ます。


ただ逆に、耐震性能に大きくかかわる箇所で金物が1つ抜けていたら……?もし、そこに大きな地震が起きたら……?


金物の重要性、わかっていただけましたか?



施工不良が起こる理由


「木造住宅は工場で製作、検査されていない」という前提に立って考える


「どうしてこういう施工不良が起こるの?」


ここまで読んでいただいた上で、素朴な疑問として、多くのみなさんはそう思うことでしょう。


まず知っていただきたいのは、木材住宅は工場で機械生産されているものではなく、大工さんをはじめとする職人が建設現場において手作業でつくっているものであるということ。人の手が作るものですから、一定の割合で何らかのミスは発生し得ます。それを踏まえて現場監督が職人の作業内容を建設現場で厳しくチェックし、ミスを指摘して修正させ、次の段階に進む……というのが住宅を建てる際の基本的な工程なのです。


しかし、建設現場で現場監督がミスを指摘できなかった(見落としてしまった)ら、どうなるか。金物を1つ付け忘れた、釘を1本打ち忘れた、こうしたミスがミスのまま放置され、「施工不良」のまま、内装材などで覆われて見えなくなって潜んでしまうのです。さくら事務所の新築工事チェックで見つかる施工不良は、いずれもこうして起きたと考えられます。


現場でのチェック体制が機能不全を起こしている理由としては、人材不足が大きいでしょう。職人や現場監督が足りておらず、それぞれがキャパシティを超えた仕事量をこなさなくてはならない中で、職人のミスが増え、現場監督の見落としが増えて、全体のクオリティが下がってしまったとのではないかとさくら事務所では推測しています。


その結果が冒頭に挙げた「82.42%」という数字なのです。現在の状況を好転させるには「木造住宅が工場で完全機械生産されるなど、人為的ミスの起こり得ない工法が急速に普及する」「現場の人材不足が劇的に改善される」といったドラスティックな変化が必要ですが、いまのところこうした変化が起きる見込みはありません。では、住宅の施工不良をなくすには、いったいどうしたらいいのでしょう…?



施工不良のない住宅に住むために


ここまで施工不良の事例をあげてきましたが、これは単なる確率の話ではなく、住宅の損壊・倒壊にかかわる話であり、さらに言えば命にかかわる話でもあるのです。


特に、今から新築住宅の購入をお考えの方は、大きな地震の際、自宅が最良の避難所になることが一番望ましいはずです。ただ、現状では新築時に問題のない住宅の方が少ないため、施工をチェックし、改善することが大事です。今回、例にあげたような施工不良は、家が建ってしまってからでは容易に直すことができません。


施主の立場としてできることは、以下の2つです。



  • 施主としての積極的な意思表示

  • 第三者機関の利用


施主としての積極的な意思表示


1つは、現場監督とのコミュニケーションをマメに取ること。施工不良の原因の1つに現場監督のチェック漏れを挙げましたが、このチェック漏れを少なくするための方法です。


例えば、工事の進捗状況の報告。工事が始まる前に現場監督から「定期的に報告を入れるので安心してくださいね」と言われたのに、一向に連絡が来ない…ということがしばしばあります。


これは「定期的に」をきちんと定義していないのが原因。監督は「1カ月ごと」のつもりでそう言ったのかもしれませんが、1カ月も空けば現場の状況は大きく変わってしまいます。「1週間ごとに」「10日ごとに」など、短めのスパンで期日を明確にしておきましょう。


各工程で行われる現場監督のチェックに同席させてもらうのも有効です。「こういう時はどういう点に注意してチェックするんですか?」など、積極的に解説を求めましょう。「この施主は一生懸命なんだな」と思ってもらうことができれば、それが現場でのチェック漏れの抑止力になり得ます。


第三者機関の利用


もう1つは、第三者機関を利用して、別途検査を実施すること。現場監督のチェックに限界があるのであれば、チェックの機会を増やして対応しようということですね。


さくら事務所の新築工事チェックでは、基礎や構造、外壁など、工事の進捗に合わせて各工程でプロのインスペクターが細かなチェックを行っています。「図面通りに施工されていなかったらどうしよう」「行われている工事が適切なのか自分では判断できない」「気になることがあっても自分からは言い出しにくい」「第三者の客観的な目で見てほしい」といった不安をお持ちの方は、ぜひご利用ください。



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