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北海道胆振東部地震の教訓10選~大規模停電・通信障害、出先の被災の備えは?

2022-09-21

北海道胆振東部地震

北海道胆振東部地震の教訓 大規模停電・通信障害・出先の被災、備え

夜中に発生・大規模停電・通信障害が発生した地震


 4年前の2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震は、平日の木曜日・午前3時7分に起きた地震でした。マグニチュードは6.7、北海道で初の震度7を観測しています内閣府によると、この地震による死者は42名、重軽傷者762名、住宅の全壊462棟、半壊1570棟が発生しました。厚真町などで山の山腹からの崩壊が多数あったほか、札幌市清田区における宅地地盤の液状化(流動化)、地盤沈下による道路の陥没などの被害が発生しました(参考:「液状化」の速報


 特徴的な被害としては、道内初電力の4割を占める苫東厚真火力発電所施設の停止などで、地震発生後に日本で初めてとなる大規模な停電ブラックアウト)」が発生した地震でした。これに伴って信号機が稼働しない、エレベータの停止による閉じ込め、通信障害などが発生したほか、水道管の破裂による断水など、インフラや生活面にも大きな影響を与えた地震でした。


北海島胆振東部地震の震度分布( 内閣府HP


 筆者(横山芳春)は、たまたま前日(9月5日)に北海道内に入って地盤や地震に関するセミナーで講演を行い、翌日(9月6日)朝に飛行機で移動のため新千歳空港に近い千歳市内に宿泊しておりました。いわば「出張先で大地震に遭遇した」立場でもあり、「大規模停電通信障害の障害を受けながら、苫小牧市、厚真町、安平町、札幌市などの被災地の調査や報道対応を行いました。その視点から、現地で何が起きたかのレポを含めて、現地に居て感じた「出先での被災」への備え、「震災から学んだこと」について教訓となりそうなこと10選をまとめました。


日本初の大規模停電(ブラックアウト)の発生


 地震が発生したのは午前3時7分のことでした。地震の先日(9月5日)には折しも近畿地方に多くの被害をもたらした、平成30年台風21号が北海道西方沖を通過していました。4日の晩から5日の午前中は断続的に強い雨が降り続けており、この影響で大幅な交通の乱れがありました。筆者が新千歳空港に到着したのは17時半ごろ。新千歳空港から列車でひと駅の千歳駅に移動しようとしたところ、新千歳空港駅ー札幌駅間では、台風による倒木除去や線路点検の影響で、夕方になっても列車は運転を見合わせの状況。やむなくバスタクシー乗り場に移動すると、一般の送迎車も入っていて大渋滞。大混雑のうえダイヤが乱れていたバスターミナルでバスを数台待って千歳駅に移動し、ようやくホテルにたどり着きました。


 その日は千歳市内の鉄筋コンクリート造のビジネスホテルに宿泊しました。 ホテルは可能な限り安全な立地の耐震性の高いビル等を選び、また避難経路や常備灯を確認する癖をつけていましたので、同じように確認を済ませたのち、特に変わらずに出張先での眠りについていました。



北海道胆振東部地震発生の先日(9/5) 新千歳空港の列車運転見合わせの看板(千歳市内・横山芳春撮影)


 眠っていると、世界がぐるぐる回っているかのような揺れを感じ、夢かと思いましたがどうやら現実の地震のようでした。目覚めたものの、ベッドから立ち上がることはおろか、全く動くことはできませんでした。電気をつけたまま寝落ちしていたので部屋の灯りはついていましたが、できることはただ天井を見ながら、ベッドで転げ落ちないように耐えるだけ。先日の講演では札幌、苫小牧付近の地震や活断層の話はしていましたが、異常に強く長い揺れから、南海トラフ地震や関東・東北での巨大地震を予感しました。


 しかし、千歳市で震度6弱レベルと思われる激しい揺れを感じたことで、これは近傍の活断層など北海道内での地震もあるかなどを考えていました。少し揺れが収まってきたタイミングでスマホを探すと少し離れたところの机の上にあり、手に取って記録のために動画を撮影しました。発生直後の強い揺れは記録されておりませんが、長い揺れと、建物が呼吸をするような音を立てて激しくきしむ様子などが記録されています(下は実際のその際の動画)。


 



北海道胆振東部地震・ビジネスホテル8階の室内における揺れ(千歳市内・横山芳春撮影)


 


 揺れが収まったので、スマホで震度などの情報収集を開始。少しして念のためドアの開閉を確かめ、廊下に出ると照明はついており非常階段のドアを開けて異常がないことを確認、当初はホテル内や周囲の照明も変わりなく点灯し、エレベータも作動していました。宿泊していた部屋は8階にあったことから、スマホで情報を集めつつ歩いて深く考えずに一瞬、階下に降りようとエレベータを呼んで、はっとして「乗ってはいけない」と思い出して乗り込むのをやめました。


 大きな災害が発生した後は、「正常性バイアス」という、認知バイアスが働き、「大したことじゃない」と心を落ち着こうとする心理傾向が働きやすいです。パニックを防ぐ役割もありますが、危機が間近に迫っているときには必要な避難などを妨げてしまう場合があります。現実には、普段と同じ行動をとっていてはいけないこともありますし、皆が逃げていなくても逃げることが必要になる場合などもあります。感じたことがないような地震などがあった場合には、「自分だけは大丈夫」と思わず、情報や現状を見て、必要な判断と行動をすることが求められるでしょう。


 部屋に戻って情報収集をしていると、地震から10数分ほど経った3:21ごろに急遽、停電が発生。窓から外を見てみると、ビルなどを除いて真っ暗な状況。「大規模停電」の始まりでした。スマホは満充電でしたが、出張先でもキャリーケースに満充電のモバイルバッテリを複数持っていましたので、給電しながら情報収集ができたので心の余裕ができました。ほか、予備の食べ物や飲み物も備えておくと、万一の閉じ込めや買い物が難しい際にも役立ちます。



  1. 教訓① いつでも荷物の中にはモバイルバッテリは多めに準備、満充電を

  2. 教訓⓶ 「正常性バイアス」は誰にでも起こりうる。非常事態には「自分は大丈夫」と思わずに状況を見て行動を

  3. 教訓③ 外出先のホテル使用時は、非常口、避難経路や非常灯の位置などを確認、スマホなどは充電して寝る



地震発生後3:21ごろのホテルから外を見た光景・一部ビル以外灯りが落ちている(千歳市内・横山芳春撮影)


 廊下に出てエレベータを見てみると、階数などの表示は消えており動作は停止していました(下写真)。この地震では、約9,000台のエレベータが緊急停止したとの報道(日経新聞)があり、内閣府のまとめでは少なくとも23件のエレベータ閉じ込めが発生していたとされています。朝3時過ぎの地震ではなく、もしエレベータを利用している人が多い日中に発生していたら、閉じこめ事故はさらに増加していたことでしょう。


 地震からの避難はエレベータを使わないことが基本です。また、エレベータに乗っているときに大きな揺れを感じたら、全ての階のボタンを押して最寄りで降りることが推奨されています。大地震発生時には、エレベータが停止せずにしばらくエレベータが使えていても、発生直後ではなく遅れて大規模停電が発生しエレベータが停止することがあることも、北海道胆振東部地震の教訓といえるでしょう。


 



  1. 教訓④ 大きな地震、長い揺れの地震を感じた後にはエレベータを使わない(後から停電がある可能性も)


地震発生数十分後、停電で停止したビジネスホテルのエレベータ(千歳市内・横山芳春撮影)


 自宅等に滞在中、地震時や地震後に停電があった際の注意点。とくに避難所などに移動するなどで自宅を離れる際には、コンセントを抜く、ブレーカーを落とすことを心がけましょう。給電再開後に損傷した電源コードや、ストーブに洗濯物が倒れていたなどで火災につながることもあります。


 


街で起きていたこと~大規模停電の影響


 少し落ち着いて、情報収集や各種対応ののち、空が明るんできた1階に降りてフロントや外の様子を見てみることにしました。非常階段を使って1階に降りると、ラジオが流され、多くの人が情報収集中。外に出て見ると目に見えた家屋や道路の被害はありませんでしたが、町は停電、駅前のデジタル時計は3時21分の表示のまま止まっていました。千歳駅前の交差点では信号が消灯しており、警察官複数名が交通整理をしていました。


 この信号機が消灯している状況は、滞在中の翌7日午後の段階でも続いていました。交通インフラとしての道路は、個人的には信号が消灯することで大混乱をきたすと考えていました。交通量の多い国道や真っ暗な夜道で信号機が消灯している中、実際に2日間車を運転してみて多くの場合はお互いに譲り合った交通が成立していたように見受けられ、著者が見た範囲では大きな事故はみられず、譲り合っているシーンを多く見かけました。


停電で信号が消灯したため、交通誘導をする警察官(JR千歳駅前・横山芳春撮影)


 食料、飲み物を調達しようとコンビニに立ち寄ってみました。店内は停電で照明は落ちていましたが、ものを買おうとして人が多く集まっていました。すぐに食べられるパンや弁当などは品薄になっており、残っていたざるそばとお茶を買ってレジに並ぶと長蛇の列。どうやら、3名の店員さん(1名は私服のまま)が、懐中電灯で手元を照らしながら、手計算で会計をしてくださっているようでした。手計算にて現金払いにて、クレジットカードや電子決済などは使えないようでした。


 同様なことは今後の大災害でも発生しうるものと考えられます。最近は特にクレジットカード電子マネー、キャッシュレス決裁でお支払いをしている方も増えていると思いますが、災害発生時を見据えて現金を手元に置いておくことをお勧めします。とくに出先では、必要な飲食料の購入に際しておつりが貰えない可能性も考えて、財布以外に通勤カバンなどに小銭や千円札を入れておくと、いざというときにも安心ができると思います。※万一財布を落としたりうっかりお金を使い切ってしまった際の備えにもなるでしょう。


教訓⑤ 災害発生時にはキャッシュレス決裁は使えない可能性も、小銭、1000円札を備えておくといざというときに安心できる


停電のなか手計算で会計対応のコンビニ(千歳市内・横山芳春撮影 一部を加工)


通信障害への影響


 少し落ち着いて、情報収集や各種対応ののち、空が明るんできた1階に降りてフロントや外の様子を見てみることにしました。非常階段を使って1階に降りると、ラジオが流されていました。放送はクリアに入り、停電時の情報収集手段として、ラジオはやはり非常に有効でした。地震のあった6日は、レンタカーで燃費の良いハイブリッド車を借りることができ、充電もスムーズで燃料も満タンで燃費の良い車なので、ガス欠の心配も少なかったです。


 地震のたびに各地で見られることですが、地震発生後はガソリンスタンドには長蛇の列ができます。今回も同様な車列をいたるところで見かけましたが、地震の規模などによっては在庫が枯渇して給油できないなども想定されます。自家用車では、災害発生の観点からはなるべくガソリン満タンに近くしておくと安心でき、ガソリンが半分以下になったら給油したり、飲料水や布団、着替え、充電できる備えをしておくといいですね。


 車内のオーディオをNHKラジオ(第1)に合わせると、聞いている間では停波などの記憶はなくクリアでした。終始、情報を聴きながら移動していました。ラジオの強みは、地域に根差したこまめな情報提供ができることです。避難所などローカルな情報も得られますので、活用しましょう。千歳市から東に安平町、厚真町、北上して札幌市内に入りましたが、とくに札幌市内に差し掛かると、メール、電話ほか、通信に支障が出てくるようになってきました。



  • 教訓⑥ 車での被災を考えたこまめな給油や充電できる備え、着替えなどの準備を




  • 教訓⓻ 災害発生時にはラジオはやはり頼れる!一家に1台はラジオを用意(電池も忘れずに)



 総務省によると停波固定電話で約14万回線、携帯電話の基地局は、最大で約6,500基地が停波、地震に伴う伝送路支障、及び道内全域における長時間の停電が影響したとされています。現地では、移動基地局の運用などもみられましたが、人の集まる市役所付近などでは非常に通信が重い印象でした。それでは、現地で有効に使えたツールは何だったでしょうか。当時の札幌市内における個人的印象ですが、以下の通りでした。



  • LINE ◎

  • メッセンジャー ◎

  • メッセージ ○(ショートメール)

  • Gmail △

  • ブラウザメール △

  • 電話 ×

    ※地震発生当日、翌日に札幌市付近における横山芳春の個人的体感です。


 特に清田区役所付近では電波は重く入りづらく、通話はほとんど機能しない状況でした。いわゆるメッセージアプリは使うことができました。直接関係ない情報も読み込んでしまうメール類は、やや重い印象でした。電話による通話はできない状況でしたので、報道機関などとは携帯電話番号間のメッセージ(ショートメール)を使ってやりとりをしていました。画像などの送付は、メッセンジャーが有効でした。以下、実際の当日午後、清田区内で送受信した際のやりとりです。



地震当日のメッセンジャーアプリの画面(札幌市内・横山芳春撮影)


 家族や大切な人との連絡は、まず複数の連絡手段を確保しておくことが有効です。電話だけ、など単一ですと連絡がつきづらくなることが想定されます。スマホが故障、紛失、バッテリがなくなった際の為に、連絡先をメモしておくと良いでしょう。災害用伝言板災害用伝言ダイヤルも有効ですので、平時のうちに調べておくことをお勧めします。 下の写真は地震の翌日(9月7日)の千歳市内で撮影したスマホのトップ画面を撮影した写真です。「緊急通報のみ」という画面が表示されていました。


教訓⑧ 災害発生に備え、家族や大事な人とは複数の連絡手段を持つのが有効。平時から連絡手段については話し合いを


 



地震翌日のスマホ画面(千歳市内・横山芳春撮影)


地震後の道路を通るときの注意点


 北海道胆振東部地震では、各地で道路の陥没や亀裂、波うち、沈下、マンホールの浮き上がりなどの現象がみられました。以前、ハザードマップだけでは把握しづらい陥没・空洞化は地震の後に起きやすい!の記事で紹介したように、震度5程度以上の地震発生後には、道路の陥没・空洞化が起こりやすいことが知られています。橋の付け根では、橋脚の周りの路面が沈下して段差になってしまうことも良く見られます。


 このような場所を車で通過してしまうと、タイヤのパンクや車体の傷だけでなく、場合によっては走行不能や転落などの可能性もあります。JAF警察・消防なども多忙を極めている地震後ですので、事故処理や救助などに時間がかかることなども考えられます。車を使う際は可能な限り徐行し、様子を見ながら走ること、道路がくぼんでいたり波打っているところはなるべく通らないなどが必要でしょう。二輪車でも波打った道路にハンドルをとられたりすることが懸念されます。


札幌市内でみられた路面下の空洞化と道路の陥没(札幌市内・横山芳春撮影)


 歩行者や自転車の方も、歩き慣れた道でも注意が必要です。地震前にはなかった陥没やひび割れなどが起きて、足をとられてしまうことがあります。車が亀裂などを避けてきたりすることもありますので、足元や周囲の状況に気を配りながら歩くことが求められます。


教訓⑨ 大地震後には道路の陥没などに注意!車は徐行、歩行者・自転車も段差や周囲の状況に目を配りながら歩く


安平町でみられた道路の亀裂(安平町内・横山芳春撮影)


地震はいつ起こるかわからない


 地震はいつ、どこで起きるかわかりません。家にいるときに起こるとは限らず、出勤中、会社で仕事中、外回り中、出張中、また買い物中や旅行中、出張中など、家族と離れた場所、普段慣れない土地で起こることもあります。場合によってはすぐに帰宅できないこともあるでしょう。このことは、北海道胆振東部地震でも実際に体感しました。たまたま年に1回の旅行や出張の先でも、地震が発生しないとは限りません。出先での万が一の大地震発生の際に、何も備えがないことと、最低限でも備えがある状況では、いざというときに大きな違いとなるでしょう。


 さらに、都心部において大地震発生時には、途中の地域の被災や交通網の断絶から、すぐに帰宅が開始できないこともあります(参考記事:東日本大震災から11年 大震災時の迂闊な一斉帰宅には要注意!)。都心部に通勤している方などは、オフィスにモバイルバッテリーや予備の飲食料を備えておくなども有効でしょう。働き方、移動先などに応じて


教訓⑩ 地震はいつ、どこで起きるかわからない。出先で万一の時に慌てない備えを



スーパー前の歩道にまで並ぶ人々の長蛇の列(札幌市内・横山芳春撮影)


 


最後に、各教訓のまとめです。



  1. 教訓① 仕事先・出張先でも急な被災に備えてモバイルバッテリは多めに準備、満充電を

  2. 教訓⓶ 「正常性バイアス」は誰にでも起こりうる。非常事態には「自分は大丈夫」と思わずに状況を見て行動を


  3. 教訓③ 外出先のホテル使用時は、非常口、避難経路や非常灯の位置などを確認、スマホなどは充電して寝る

  4. 教訓④ 大きな地震、長い揺れの地震を感じた後にはエレベータを使わない(後から停電がある可能性も)

  5. 教訓⑤ 災害発生時にはキャッシュレス決裁は使えない可能性も、小銭、1000円札を備えておくといざというときに安心できる

  6. 教訓⑥ 車での被災を考えたこまめな給油や充電できる備え、着替えなどの準備を

  7. 教訓⓻ 災害発生時にはラジオはやはり頼れる!一家に1台はラジオを用意(電池も忘れずに)

  8. 教訓⑧ 災害発生に備え、家族や大事な人とは複数の連絡手段を持つのが有効。平時から連絡手段については話し合いを

  9. 教訓⑨ 大地震後には道路の陥没などに注意!車は徐行、歩行者・自転車も段差や周囲の状況に目を配りながら歩く

  10. 教訓⑩ 地震はいつ、どこで起きるかわからない。出先でも万一の時に慌てない備えを







     

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